今から100年前の大正12年(1923年)8月2日午前4時55分、岩手県花巻農学校教諭の宮沢賢治は、生徒の就職を依頼するため樺太へ向かう途中旭川駅に降り立つ。
どうしてもこの街が栄えた一つの要因である大農方式による水稲栽培法を見ておきたかったからだ。
午前11時54分発の稚内行きの列車に乗るまでの間、上川農事試験所跡地の水田や遊郭の盆踊り稽古を見ていると、前年の9月18日に19歳の若さで亡くなったはずの『アイヌ神謡集』著者・知里幸恵と出逢う。
銀河鉄道による時間旅行を持ちかけられ、旭川が誕生した明治時代、そして昭和に移動して『氷点』の作家・三浦綾子など歴史的人物に触れていく。
旭川は、明治政府の命令により創り上げられた全国でも稀なケースの街。開発のために沢山の屯田兵、囚人たちが原生林を開拓し現在の旭川が生まれました。
旭川にゆかりのある実際の歴史上人物や史実を織り込み、明治から現代の時空を超えるオリジナルストーリー。
官民一体型モデル団体として96年に発足した劇団の目標は「旭川」という演目のミュージカルを東京で上演することでした。その目標が叶った公演です。
作・演出:森ただひろ